埼玉県さいたま市に拠点を構える、
本澤税理士事務所は会社設立支援や税務相談を中心に、スタートアップからその後の円滑な会社運営のサポートを行っております。
今回は、会社設立時や新しい事業立ち上げ時にお悩みする「資金調達」の方法のひとつ、
「出資」に焦点を当て、出資を受ける方法や、出資を受けるメリットデメリットをご紹介いたします。
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そもそも出資はどこから得るのか?
出資は、「誰が資金を提供するのか」という出資者の点で、
個人投資家
ベンチャーキャピタル
クラウドファンディング
の3種類に分けられます。
出資者によって、「出資対象」や「投資資金の目安」が異なるため、
誰から出資を受けるべきか選ぶ際には、それぞれの特徴を比較する必要があります。
例えば、
個人投資家の投資の目安は「100万円〜1,000万円程度」で、
ベンチャーキャピタルの場合は「1,000万円〜数億円」
と投資金額に大きな差があります。
出資者によって、どのような違いがあるのかをさらに詳しく説明していきます。
個人投資家による出資
個人投資家とは、法人などの組織に属さず個人で投資を行う人のことです。
おもに創業間もない企業に対して投資することが多く、起業家に対して資金を提供する富裕層の個人投資家を「エンジェル」とも呼びます。
出資の見返りとして株式を譲り受け、出資した企業が上場したり事業買収されたりした時に、リターンを得ることを目的としています。
大きな企業としては、AppleやGoogle、Facebook、マイクロソフトも個人投資家から出資を受け上場を成功させた企業です。
当時、出資をした個人投資家が成功した話は有名です。
ただし、個人投資家の投資金額は、ベンチャーキャピタルと比較すると「数百万円〜数千万円程度」で少額です。
また、起業前の段階「シードラウンド」での出資を受けることはかなり難しいと言われ、親族や知人が出資をする場合がほとんどです。
個人投資家から出資を受ける際には、
しっかりとした上場までの計画や、実績を持つ、アーリーステージの段階でアピールすることをお勧めいたします。
ベンチャーキャピタルによる出資
ベンチャーキャピタル(VC)とは、
会社設立や新規事業へ取り組もうとしているベンチャー企業に出資を行い、
その投資先が、株式公開または事業売却することによって、キャピタルゲイン(資産を売却することによって得られる売買差益)を得ることを目的とした
資金提供をしている会社のことです。
つまり、ベンチャーキャピタルからの出資を受け入れると、
上場を目指すかM&Aによる会社売却などを目指さないわけにはいかない、ということになります。
投資金額は「数千万円〜数億円規模」と個人投資家よりもかなり大きく、
最近は、このベンチャーキャピタルを利用して株式公開するベンチャー企業が増えていて、起業家たちの間でも注目が高まっています。
しかし、資金提供を受ければ当然制約が生まれます。
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、自社の事業をどうしたいか、どこを目指すのかといった点を慎重に吟味しながら、検討する必要があります。
ベンチャーキャピタルの種類
ベンチャーキャピタルといっても、政府系ベンチャーキャピタルや銀行系ベンチャーキャピタルなど、さまざまな種類があります。
政府系・・・投資育成会社、DBJキャピタル(日本政策投資銀行グループ)、産業革新機構(INCJ)
政府系VC | 特徴 | 主な投資対象 | 公式サイト |
投資育成会社 |
法律に基づいて経済産業大臣が監督を行ない、地方公共団体や金融機関による出資を受けている機関
中小企業の資金面のバックアップを行う「投資業務」と経営相談、ビジネスマッチングなどの「育成業務」を行っています。
税理士、中小企業診断士、公認会計士など、専門資格を持った人材も揃っており、資金調達だけでなく有益な経営アドバイスも相談が可能です。 |
将来性のある中小企業
投資実績: |
東京:https://www.sbic.co.jp/ 名古屋:https://www.sbic-cj.co.jp 大阪:https://www.sbic-wj.co.jp/ |
DBJキャピタル (日本政策投資銀行グループ) |
日本政策投資銀行の100%子会社のベンチャーキャピタル
規模や事業分野にとらわれず、新しいビジネスモデルや技術を用いグローバルな競争力で成長するベンチャー企業に対して投資、ネットワークを利用したファイナンス面のサポートなどを行なっています。
研究所や大学、企業の優れた技術や知財の事業化などについても強力なハンズオンでベンチャー企業立ち上げをサポートしています。 |
グローバルな競争力のあるベンチャー企業
投資実績: |
https://www.dbj-cap.jp/ |
産業革新機構(INCJ) |
株式会社産業革新機構が全株式を保有し、組織や産業の垣根を超えて次世代を担っていく会社を育成することを目的として、出資先企業への投資、上場へ向けた活動を支援しています。 |
社会的ニーズが高い企業
投資実績: |
https://www.incj.co.jp/index.html |
銀行系、証券会社系、事業会社系・・・銀行、地銀、信用金庫、証券会社、出資を本業としない通常の事業会社の傘下にあるものです。
特徴 | 有名なベンチャーキャピタル | |
銀行系VC |
銀行からの出向者が多く、やや融資に近い審査体制(安定感の重視)という特徴があります。 スタートアップ企業にも投資する傾向 |
|
証券会社系VC |
大手金融機関がバックにいることで、投資数や投資金額が大きくなる傾向があります。 創業間もないアーリー・ミドルステージの会社にも積極的に投資する傾向 |
|
事業会社系VC |
審査機関は、通常1カ月ほどですが、経営体制が未成熟な会社については、投資実行までに1~2年ほどかかるケースもあるようです。 |
上記のように、さまざまな種類があります。
ベンチャーキャピタルごとに投資のスタンス、審査や評価の基準は異なりますので、それぞれの特色を理解したうえで、交渉するべきです。
ベンチャーキャピタルからの資金調達に精通している公認会計士・税理士に相談すれば、
どのベンチャーキャピタルと接触すればよいか、どのように交渉するべきかなど、細かくアドバイスをしてもらうことができます。
クラウドファンディングによる出資
クラウドファンディングとは、インターネットなどで不特定多数の人が、個別のプロジェクトに対して資金提供を行う仕組みのことです。
投資は1円から可能で、多額の資金調達に成功した事例もあります。
新たな資金調達方法として一時話題を集めましたが、
あくまで個別のプロジェクトに出資する形のため、起業家やベンチャー企業に対して出資するものではありません。
そのため、事業資金を調達するのであれば、クラウドファンディングは不向きといえます。
事業資金を検討するのであれば、
個人投資家、もしくはベンチャーキャピタルの2つが望ましいでしょう。
出資を受けるメリット・デメリット
出資先ごとの出資の特徴をご理解いただいた上で、
そもそも出資ということのメリットデメリットも把握しておきましょう。
資金調達方法は出資を受ける手段だけではもちろんございません。
融資や自己資金など他の方法とも比較しながら、出資を受けるべきかを検討していく必要があります。
出資を受けるメリット
返済義務がないため、事業に専念できる
出資を受け資金調達した場合には、返済義務は原則としてありません。
返済を得ない代わり、
出資の対価として、出資者には会社の「議決権株式」を与えられるケースが多く、
出資した企業の企業価値が向上することにより株価も上昇し、出資者は保有する株式で利益を得ることができます。
出資を受けた側は返済について気にすることなく、事業の遂行に専念することができます。
新規事業を立ち上げ展開するためには、当然資金が必要です。
ベンチャーキャピタルからの出資であれば、銀行から融資を受けにくい起業間もない会社に対しても、積極的に投資してくれるというメリットがあります。
最近は、会社設立から10年ほどの会社でも株式公開を実現しています。
株式公開には、ビジネスチャンスの拡大、会社および従業員の社会的信用力の増大など、さまざまなメリットがあります。
しかし、創業間もない会社が銀行から借入れたり、経営者が持株比率にこだわったりしていれば、このようなスピード感を持った株式公開は不可能と言わざるを得ません。
投資家やベンチャーキャピタルからの資金調達を成功させれば、会社の成長スピードを格段に加速させ、早期の株式公開も十分可能となるのです。
出資者による経営支援が期待できる
出資者は、出資企業の業績が向上することを期待して投資しているため、
投資者自身の経験や知識に基づいたアドバイスが受けられることもあります。
出資者は他の企業に対しても出資を実行している場合も多いため、
経営アドバイザーや経営コンサルタントのような役割を担ってくれることが期待できます。
出資を受けるデメリット
事業の経営に介入される可能性がある
メリットで記載の通り、出資の見返りとして、出資額に応じた「議決権株式」を付与するケースがあります。
この出資額や関係性によって、株主として会社の経営に介入されることもあります。
この介入について、意思決定に関する好意的な助言となる場合もあれば、
かえって経営者による自由な意思決定の妨げになったり、経営者や従業員が動きづらくなってしまったりすることもあるでしょう。
どのくらいの比率の自社株を出資者に付与するのか(持株比率)等については、慎重に検討する必要があります。
業績が向上することにより、支払うべき配当金が増加する
出資を受けた場合には、
原則として返済義務はないものの、自社株が出資者に付与されるケースが多いため、
会社の業績が向上した場合には支払配当金額が増加してしまうケースが考えられます。
特に外部に株主がいる場合に該当します。
また、配当金以外にも役員報酬が増加する等、出資者に対する見返りが増えてしまう可能性があるため、留意しておく必要があります。
投資家は上場を目指さない経営者に興味はない
投資家は企業にお金を貸して金利を得ることを目的としているのではなく、上場や事業買収などによるキャピタルゲインを得ることを目的としています。
したがって、「上場など考えていない」という起業家には、投資家が出資してくれることはありません。
そのような場合には、クラウドファンディングの活用や融資など、他の資金調達を検討した方が現実的でしょう。
出資を受けるために行うべきこと
投資家から出資を受けるには、まず投資家に投資をする価値を感じてもらわなければなりません。
ただ、闇雲に声をかけてアピールしても意味がなく、
各投資家がどのような観点で企業を評価しているのか把握しておくことが大切です。
一般的に、投資家は、以下のような観点から投資先候補となる企業の価値を評価しています。
- 市場や事業の成長が見込めるかどうか
- 整合性と実効性のある事業計画を立てているかどうか
- どの程度の収益を生み出せるか
投資家は、それぞれに考え・今までの経験をもとに企業を見極めています。
逆を言うと、
企業側は、今後の自社の将来性を認めてもらえる投資家に出会い、各投資家それぞれにアピールをしながら考えを聞いてみることも良いでしょう。
創業準備や事業計画は専門家を頼りましょう
事業を立ち上げるためには、
夢だけではなく成功に向けての冷静な計算も必要です。
本澤税理士事務所は、
創業にあたり準備しなければならないことの検討や、事業の成功の見通しを数字により分析するなど、
創業者の方々と共に事業の成功に向かって頑張っていくという役割を果たすことができます。
また、事業資金をどのように集めるか資金調達のための事業計画書を一緒に作成いたします。
今回は、資金調達の一つの方法として出資について解説いたしましたが、
当事務所は、会社設立に向けて様々な方法から適切な資金調達方法をご一緒に考えることが可能です。
ご一緒に良いスタートダッシュが切れる事業計画を考えましょう!